2009年8月31日月曜日

内外タイムス社の実質的オーナー逮捕

アトピー性皮膚炎に効く化粧品と偽り、医薬品成分のステロイドを含む商品「NOATO(ノーアト)クリーム」を販売したとして、警視庁は19日、化粧品販売会社「ラバンナ」(東京都新宿区、現イエス・オーケー)の実質経営者、南原貴裕容疑者(29)=東京都新宿区市谷砂土原町=ら幹部5人を薬事法違反(無許可医薬品の販売)容疑で逮捕し、発表した。

 南原容疑者は夕刊紙を発行する「内外タイムス社」の実質的オーナー。調べに「クリームを輸入して売ったが、中身は知らなかった」と否認しているという。同商品をめぐっては、炎症がひどくなったなどの副作用の苦情が全国の消費生活センターに相次いだ。昨年7月に国民生活センターの調査でステロイド成分が含まれることが判明し、東京都が製造販売中止と回収を同社に指示。警視庁は昨年10月にラバンナ社と関係先を家宅捜索し、捜査を進めていた。

 生活環境課と四谷署などによると、南原容疑者らは昨年5月20日~7月9日、薬事法で許可が必要なステロイド成分を含む同商品をアトピー患者の男女8人に10個を6万3千円で販売した疑いがある。同社はホームページで「ステロイドは一切含まないアトピーの方のために開発された天然素材100%のクリーム」と宣伝していた。昨年2月から約5カ月間、代理店などを通じ2万個以上が主にインターネットで販売され、約9千個が未回収になっているという。

 国民生活センターが調べたところ、ステロイド剤の「プロピオン酸クロベタゾール」が約0.05%含まれていることが判明。同センターによると、同成分は外用のステロイドホルモン製剤として最も効き目が強いという。湿疹や皮膚炎の治療に使われるが、緑内障や皮膚が薄くなるなどの副作用が出るおそれがあるほか、繰り返し使用していた人が使用を中止すると症状がぶり返す「リバウンド現象」が起きることもあるという。医薬品の許可を得た場合でも医師の診療を受ける必要がある。

 捜査関係者によると、ラバンナ社には競馬情報を扱う複数の関連会社があり、「競馬には出来レースがある。情報料を払えば絶対もうかる」などと勧誘していた。全国の警察には「預けた金が返ってこない」などの苦情が相次いでいるという。また、南原容疑者は今年6月に内外タイムス社の役員に就任。著名プロレスラーとイベントに出演するなど派手な交友関係で知られる。登記上は7月に退任しているが、同社によると、現在も実質的オーナーだという。警視庁は、南原容疑者が支配するグループ企業の実態解明も進める。