2010年12月19日日曜日
iPhoneで操作! 未来のラジコンヘリ「AR.Drone」
「AR.Drone」は、クアドリコプター(4ローター式ヘリコプター)。
発表時にYouTubeで公開した上の動画が大きな話題となった。
まさに空飛ぶコンピューター!
AR.DroneはiPhoneやiPod touchで操作するラジオコントロールの4ローター式ヘリコプター。本体からは4方向に、ブラシレスモーターで駆動する4つのカーボンファイバー製ローターが飛び出ている。
一般的なヘリコプターというイメージからはかけ離れた外見。見た目よりもずっと早く、最高速度は時速は毎時18km程度まで出るという。
iPhoneから見るとAR.Droneは無線LANアクセスポイントに見える。ちなみに接続はアドホック形式なので、同時に接続できるのは1台のみ。
iPhoneとの接続時はAR.Drone自体がアクセスポイントとなるため、あとはiPhoneさえ持ってくればどこでもすぐに飛ばすことができる。電源は内蔵リチウムポリマーバッテリーで、約15分間の飛行が可能(充電は約90分)。
屋外だけでなく室内で飛ばすことも考慮しており、EPP(発泡ポリプロピレン)製のハル(シールド)も用意する。このハルを装備すると本体が大きく、重くなるが、ローターが直接ものにぶつかる心配が大きく軽減される。本体はハル込みで約400gと非常に軽量で、見た目の大きさと比ベると驚くほど軽く感じる。
先端にはビデオカメラが付いており、ここで撮影した画像はリアルタイムでiPhoneにストリーミング配信される。
室内用ハルを付けるとサイズは52.5×51.5cmと、かなり大きい。ローターは本体と水平な位置にあるので、ヘリコプターというよりは全翼機かUFOのようにも見える。
カメラの解像度は640×480ドット/15fps。画角は約93度。ちょうどコクピットからの視点に近く、慣れれば機体を見ずにモニターだけで操縦できる。
AR.Droneで特筆すべきは、その優れた安定性。本体には3軸の加速度センサーと2軸のジャイロスコープ、1軸の偏揺れ精密ジャイロスコープを内蔵。さらに底面には、超音波センサー(約6mまで検知可能)と60fpsのビデオカメラが備わっている。加速計により傾きを、超音波センサーで高度を、底面カメラの映像で速度などをそれぞれ検知している。
これらのデバイスをARM系プロセッサ(ARM9系、468MHz)上で動作する組み込み系Linuxでリアルタイムに処理・制御することで、風速10mの場所でも安定して飛ばせるという。そのスペックは、下手なPDAやスマートフォンも顔負け。いわば、小さな空飛ぶコンピュータというわけ。
驚異的な安定性で誰でも簡単に飛ばせる!
AR.Droneは独創的なデザインと高度なハードウェアの結晶だが、実際に飛ばしてみなければその真価は分からない。
操作時は、iPhoneの画面に表示されたボタンをタップして、回転/上下に移動を指示する。さらにiPhoneの傾きをAR.Droneに伝えるボタンがあり、ここを押しながらiPhoneを傾けることでAR.Drone自体も傾き、前進後退・左右移動を行なう。
iPhoneの動き検知はかなり精度が高く、1cm刻みの微妙な動きも、ダイナミックな高速移動も、どちらも対応できる。ハルを付けるため、人や壁などにぶつかっても、速度さえ遅ければ無事に跳ね返ってくる。
ただ飛ばすだけでも面白いし、内蔵カメラを使って撮影する映像にも大きな可能性がある。安定した挙動と自由度の高い飛行性能は、自然観察や高所作業の下見、ライブ会場の撮影など、さまざまな分野で歓迎されるだろう。AR.Droneで撮影したアクロバティックな映像がYouTubeなどで人気を博するのは間違いない。
また、アプリケーションで拡張できるのもユニークな点だ。録画/撮影用だけでなく、操作そのものを自動化するアプリも出てくるだろうし、iPhone用アプリだけでなく、AR.Drone自体をハックして完全に自律行動させたり、ハードウェアを改造してよりパワフルな機体を作り上げるユーザーが現れるかもしれない。