厚生労働省は25日、豚インフルエンザに対応したワクチンを作る場合、通常の季節性インフルエンザワクチンの製造を中止する方針を固めた。
季節性のワクチン製造をとりやめると、高齢者を中心にインフルエンザによる死者が増える恐れもある。
ワクチンに必要な豚インフルエンザのウイルスは、国立感染症研究所が入手に努めており、世界保健機関(WHO)が「新型インフルエンザ」と判断すれば、国の行動計画に従い、ただちに製造準備に入る。しかし、製造には半年ほどかかる見通しで、国民全員分を作るには1年半もかかる。しかも、ワクチン製造には、大量の有精卵が必要で、国内の設備が限られているため、豚インフルエンザ用を作るには、毎年2500万本ほど製造している季節性インフルエンザ用のワクチン製造を中止し、全面的な切り替えが必要という。
その場合、国内だけで年間1500万人近くが感染し、多い年には1万5000人の死亡に影響を与えている季節性インフルエンザの予防策がおろそかになる恐れがある。
感染研インフルエンザウイルス研究センターの田代真人センター長は「豚と季節性のインフルエンザのどちらが致死性が高く、感染力が強いか、よく見極めて被害を最小限に抑える選択をする必要がある」と話している。